ブラスト工法とは?サンドブラストとの違い・種類・用途をわかりやすく解説
2026-06-29
「ブラスト」という言葉を、橋梁や鉄骨の塗装、金属加工の現場で耳にしたことがある方は多いと思います。
ブラストは、鋼材を塗装する前の下地づくりや、サビ・旧塗膜の除去に欠かせない、表面処理の基幹技術です。
この記事では、
- ブラスト工法とは何か(原理)
- サンドブラストとブラストの関係(違い)
- 研削材(メディア)の種類
- ブラスト工法の種類(乾式・湿式・ショット・循環式など)
- どんな用途に使われるのか
を、鋼構造物のブラスト・塗装を手がける専門業者の視点で、基礎からわかりやすく解説します。
ブラスト工法とは?原理と役割
ブラスト工法とは、研削材(けんさくざい)と呼ばれる硬い粒子を、圧縮空気などの力で対象物の表面に高速で衝突させる表面処理の方法です。
研削材は、メディア・投射材・研磨材などとも呼ばれます。
粒子をぶつけることで、次のようなことができます。
- 表面のサビ・汚れ・旧塗膜を除去する
- 塗料が密着しやすい粗面(粗さ)をつくる
- 表面を整える・質感を変える
鋼構造物の塗装では、この「サビ・旧塗膜の除去」と「塗料が密着する粗面づくり」を同時に行えることが、ブラストの大きな価値です。
塗膜が長持ちするかどうかは、塗料の性能以上に、塗る前の素地調整(下地処理)の品質に左右されるといわれています。
その素地調整のなかでも、最も高い品質(素地調整程度1種)を実現できるのがブラストなのです。
サンドブラストとブラストの違いは?
ブラストについて調べると、「サンドブラスト」という言葉をよく見かけます。
結論からいうと、サンドブラストはブラスト工法のなかの一種です。
「サンド(sand=砂)」という名前のとおり、研削材として砂(珪砂)を使う方式が、もともとのサンドブラストです。
ただし、ブラストはこの砂を使う方式から広まったため、「サンドブラスト」という呼び名が、ブラスト全般を指す通称としても使われるようになりました。
そのため、「サンドブラスト」という言葉は、文脈によって2つの意味で使われます。
- 狭い意味:砂(珪砂)を使う、または圧縮空気で吹き付けるタイプのブラスト(=ブラスト工法の一種)
- 広い意味:ブラスト工法全般を指す通称
金属加工の現場などで「サンドブラスト(略してブラスト)」と呼ばれるのは、後者の通称的な使い方です。
ブラスト工法は、研削材の飛ばし方(投射方式)や使う研削材の種類によって、さらに細かく分類されます(くわしくは後述の「ブラスト工法の種類」で解説します)。
現在は砂(珪砂)はあまり使われない
もともとのサンドブラストで使われていた珪砂ですが、現在の鋼構造物のブラストでは、ほとんど使われなくなっています。
珪砂は、吹き付ける際に細かく砕けて粉じん(遊離けい酸)を発生させます。
この粉じんを作業者が吸い込み続けると、珪肺(けいはい)と呼ばれるじん肺を引き起こすおそれがあることが分かっています。
そのため、安全性の観点から、現在は珪砂ではなく、金属系や鉱物系など他の研削材を用いるのが一般的です。
つまり、名前は「サンド(砂)ブラスト」でも、実際には砂以外の研削材を使っているケースがほとんどなのです。
研削材(メディア)の種類
ブラストの仕上がりは、どの研削材を選ぶかによって大きく変わります。
代表的な研削材を、種類ごとに整理しました。
研削材選びのポイント
研削材は、素材の種類だけでなく、粒の形状(鋭角か球状か)や大きさ(番手)によっても仕上がりが変わります。
鋼橋や鉄骨など、しっかりサビ・旧塗膜を除去して塗装の下地をつくる用途では、金属系や鉱物系の硬い研削材が選ばれます。
「何のために、どんな仕上がりにしたいか」を明確にすることが、最適な研削材選びの第一歩です。
ブラスト工法の種類
ブラストには、研削材の投射方法や回収方法によって、いくつかの工法があります。
鋼構造物の塗装・メンテナンスで使われる主なものを紹介します。
エアーブラスト(オープンブラスト)
圧縮空気で研削材を吹き付ける、最も基本的な乾式のブラストです。
除去力が高い一方、粉じんや研削材が飛散しやすいため、十分な養生が必要です。
ショットブラスト
羽根車の遠心力などで研削材を投射する工法です。
広い面積や大量の鋼材をまとめて処理するのに向いています。
湿式ブラスト(ウェットブラスト)
水を併用することで、粉じんの飛散を抑える工法です。
鉛などの有害物質を含む塗膜の除去で用いられます。
循環式・バキュームブラスト
研削材と塗膜くずを回収し、研削材を選別して再利用する工法です。
産業廃棄物の発生量や粉じんを大幅に抑えられ、環境負荷の低減につながります。
バキュームタイプは噴射と回収が一体になっており、飛散を抑えながら施工できます。
ブラスト工法の主な用途
ブラストは、幅広い分野で活用されています。
代表的な用途は次のとおりです。
- 塗装の下地処理(素地調整):サビ・旧塗膜を除去し、塗料が密着する粗面をつくる
- 塗膜剥離・サビ取り:古い塗膜やサビ、スケール(黒皮)を除去する
- 梨地(なしじ)仕上げ:表面につや消しの細かい凹凸をつける
- バリ取り:金属部品の不要な突起を除去する
- 装飾:ガラスの模様付けや墓石の文字入れ など
橋梁・歩道橋・鉄骨・プラントといった鋼構造物の塗り替えでは、このうち「素地調整」と「塗膜剥離」が中心的な役割を果たします。
ブラストで課題になる「粉じん」と「産業廃棄物」
ブラストには、避けて通れない2つの課題があります。
ひとつは、サビ・旧塗膜・砕けた研削材から発生する粉じんの飛散です。
もうひとつは、使用済みの研削材や除去した塗膜片から生じる産業廃棄物(産廃)の処理です。
特に、鉛・PCBなどの有害物質を含む旧塗膜を扱う場合は、飛散防止と適正な廃棄物処理が一層重要になります。
そのため近年は、研削材を再利用して産廃を減らし、粉じんの飛散を抑える工法が求められています。
カイシン工業の「マルチメディア・ブラスト工法®」
岡山県倉敷市の株式会社カイシン工業では、特許登録済みのマルチメディア・ブラスト工法®(特許第7776072号)を用いて、橋梁・鉄骨などの鋼構造物のブラスト・塗装を行っています。
岡山で初めて導入された、先進的なブラスト施工システムです。
全研削材・全工法に対応
その名のとおり、さまざまな研削材(マルチメディア)に対応し、現場の条件に応じて最適な工法を選べるのが特徴です。
産業廃棄物を現場内で分離・有害物質を持ち出さない
施工で発生する産業廃棄物を現場内で分離し、有害物質を現場外に持ち出さないため、工期短縮と環境配慮を両立できます。
ブラスト(素地調整)から塗装、さらに鋼材の運搬・保管までをワンストップで対応しているため、工程を分けて発注する手間も省けます。
よくある質問(FAQ)
Q. ブラスト工法とは何ですか?
A. 研削材(硬い粒子)を圧縮空気などで対象物の表面に高速で吹き付ける表面処理の方法です。 サビ・旧塗膜の除去と、塗料が密着する粗面づくりを同時に行えます。
Q. ブラストとサンドブラストは違うものですか?
A. サンドブラストは、本来はブラスト工法の一種(砂を使う方式)です。 ただし、最初に普及した方式だったため、ブラスト全般を指す通称としても使われます。 現在は安全性の観点から、砂以外の研削材を使うのが一般的です。
Q. なぜブラストで砂(珪砂)が使われなくなったのですか?
A. 珪砂は吹き付ける際に砕けて粉じんを発生させ、吸い込み続けると珪肺(じん肺)の原因になるおそれがあるためです。 現在の鋼構造物のブラストでは、金属系や鉱物系などの研削材が用いられます。
Q. ブラストはどんなときに必要ですか?
A. 橋梁・鉄骨などの塗装で、塗膜を長持ちさせたいときに必要です。 塗膜の寿命は素地調整(下地処理)の品質で大きく変わり、ブラストは最も高い品質の素地調整を実現できます。
Q. ブラストで出る産業廃棄物は処理してもらえますか?
A. カイシン工業のマルチメディア・ブラスト工法®は、産業廃棄物を現場内で分離し、有害物質を現場外に持ち出しません。 処理の負担を抑えたい場合も、お問い合わせよりご相談ください。
