【鋼材鉄骨塗装】目的・工程・塗料の種類・費用をわかりやすく解説
2026-06-17
工場・倉庫の鉄骨、橋梁や歩道橋、鉄塔、プラント設備——。
私たちの暮らしを支える構造物の多くは、鋼材(鉄)でつくられています。
その鉄を錆や腐食から守り、長く使い続けるために欠かせないのが鉄骨塗装です。
この記事では、
- 鉄骨塗装の目的と必要性
- 塗装の工程と流れ
- 塗膜の寿命を左右する「ケレン(素地調整)」の種類
- 使用される塗料の種類
- 費用の考え方
を、鋼材のブラスト・塗装を手がける専門業者の視点で解説します。
鉄骨構造物の塗り替えを検討されている方、鉄骨・配管の塗装を外注したい製造会社・建設会社のご担当者は、ぜひ参考にしてください。
鉄骨塗装とは?目的は防食(錆・腐食を防ぐ)
鉄骨塗装とは、鋼材の表面に塗料を塗り、被膜をつくる作業のことです。
その第一の目的は、見た目を整えることではなく、鋼材を錆・腐食から守る「防食」にあります。
鉄は、水分や酸素、塩分に触れると酸化し、サビが発生します。
サビを放置すると、鋼材の内部まで腐食が進み、板厚が減って強度が低下していきます。
特に屋外や臨海部、工場内の腐食しやすい環境では、劣化のスピードが速くなります。
塗装によって酸素や水分を遮断することで、この腐食の進行を抑え、構造物の安全性と寿命を保つのです。
鉄骨塗装は「きれいにする工事」ではなく、「鋼材を守り、延命させる工事」です。 だからこそ、塗料を塗る前の下地づくりが何より重要になります。
鉄骨塗装の種類「新設」と「塗り替え」
鉄骨塗装は、大きく次の2つに分けられます。
新設時の塗装(工場塗装)
橋梁や鉄骨を製作する段階で、工場内であらかじめ塗装する方法です。
天候に左右されず、温度・湿度が管理された環境で施工できるため、安定した塗膜品質を確保しやすいのが特徴です。
製作した鉄骨を現場へ運び、組み立て後にボルト部・溶接部など一部だけを現場で塗装するケースも多くあります。
既設構造物の塗り替え(メンテナンス塗装)
すでに使われている鉄骨構造物を、劣化に応じて塗り替える工事です。
既存の塗膜やサビの状態によって、下地処理の方法や塗料の選定が変わります。
旧塗膜に鉛などの有害物質が含まれる場合は、特別な対応が必要になります(詳しくは後述)。
鉄骨塗装の工程・流れ
① 現況調査・素地の確認
鋼材の状態、サビの範囲、既存塗膜の劣化具合などを確認します。
② ケレン(素地調整)
サビや旧塗膜、汚れを除去し、鋼材表面を塗装に適した状態に整えます。
鉄骨塗装の品質を最も大きく左右する、最重要工程です。
③ 下塗り(さび止め)
防錆の要となる下塗り塗料を塗布し、鋼材とその上の塗膜をしっかり密着させます。
④ 中塗り・上塗り
塗膜に厚みと保護性能を与える中塗り、耐候性や色を担う上塗りを塗り重ねます。
各層の膜厚を管理しながら、仕上げていきます。
⑤ 検査・完了
膜厚や仕上がりを確認し、問題がなければ完了です。
塗膜の寿命を決める「ケレン(素地調整)」の種類
鉄骨塗装で最も重要なのが、塗装前のケレン(素地調整)です。
どれだけ高性能な塗料を使っても、下地にサビや脆い旧塗膜が残っていれば、新しい塗膜はすぐにはがれてしまいます。
このケレンは、除去の程度によって1種〜4種に分けられます(数字が小さいほど入念で、除去率が高くなります)。

※「ケレン」は正式な工業規格用語ではなく通称で、発注者や基準によって解釈が異なる場合があります。
長寿命化には「1種ケレン(ブラスト)」が理想
橋梁や歩道橋のように、長期間にわたって高い防食性能を求められる構造物では、サビや旧塗膜を根こそぎ除去できる1種ケレン(ブラスト工法)が理想とされます。
ブラストは、研削材を圧縮空気で高速で吹き付け、サビ・旧塗膜を除去すると同時に、塗料が密着しやすい清浄な粗面をつくる方法です。
ただし、最も入念な分、手間と費用がかかる工程でもあります。
そのため、求める耐久性と予算のバランスをとった、最適なケレングレードの選定が重要になります。
鉄骨塗装に使われる塗料の種類
鉄骨塗装では、役割の異なる塗料を塗り重ねて、一つの「塗装系」をつくります。
下塗り(さび止め・防錆)
防食の要となる層です。
かつては鉛丹などの有害物質を含むさび止めが主流でしたが、現在は環境・健康に配慮した鉛・クロムフリーのさび止めや、変性エポキシ樹脂塗料などが広く使われています。
亜鉛末を多く含み、犠牲防食効果を発揮するジンクリッチペイントは、より高い防錆性能が求められる場面で用いられます。
中塗り・上塗り
塗膜に厚みと保護性能を与え、耐候性や色を担う層です。
代表的なものに、ウレタン樹脂塗料や、より高い耐久性を持つふっ素樹脂塗料があります。
橋梁や臨海部の鋼構造物など、特に過酷な環境では、ふっ素樹脂を上塗りに用いた重防食塗装系が選ばれます。
一般的な塗装系に比べて長期にわたって防食性能を維持でき、塗り替え周期を延ばせるのが特徴です。
鉄骨塗装の費用の考え方
鉄骨塗装の費用は、現場の条件によって大きく変動します。
「いくらですか?」に一律の答えがないのは、次のような要素で金額が動くためです。
費用を左右する主な要素
- ・ケレン(素地調整)の等級:1種(ブラスト)に近いほど手間がかかり高くなる
- ・塗料のグレード:エポキシ・ウレタン・ふっ素など、耐久性に応じて価格差がある
- ・鋼材の形状:手すりや階段など複雑な形状は、養生と手間が増える
- ・数量の単位:㎡(面積)・m(長さ)・t(重量)で評価が変わる
- ・足場の有無・現場条件:高所や交通量の多い場所では仮設費用が加わる
- ・旧塗膜の有害物質の有無:鉛・PCBなどを含む場合は除去工法が変わり高くなる
見積もりで失敗しないために
同じ現場でも、ケレンの等級や塗布回数、面積の算出方法の前提が曖昧だと、業者によって金額が大きく変わります。
見積もりを比較する際は、「ケレンの等級」「塗装系(使う塗料と回数)」「数量の根拠」が明記されているかを確認しましょう。
価格だけでなく、塗膜の寿命まで含めて判断することが、結果的にコストを抑えることにつながります。
鉄骨塗装のコストを抑える「ワンストップ」という選択【カイシン工業の鋼材塗装ワンストップサービス】
鉄骨の防食を長持ちさせるには、ブラスト(1種ケレン)による丁寧な素地調整が効果的です。
しかし、ブラストと塗装を別々の業者に発注すると、工程管理が煩雑になります。
運搬・保管・連絡調整の手間とコストも積み重なり、産業廃棄物(使用済み研削材など)の処理負担も発生します。
そこで有効なのが、ブラストから塗装、運搬・保管までを一括で任せられるワンストップ施工です。
工程のムダを減らすことで、トータルコストの削減と工期短縮を両立できます。
岡山県倉敷市の株式会社カイシン工業では、橋梁・歩道橋などに使用される鉄骨・配管の下地処理から塗装までを一貫対応しています。
マルチメディア・ブラスト工法®で高品質な1種ケレン
カイシン工業が岡山で初めて導入した、特許登録済み(特許第7776072号)の先進的なブラスト施工システムです。
長寿命化に理想的な1種ケレン相当の素地調整を実現します。
現場内で産業廃棄物を分離し、有害物質を現場外に持ち出さないため、工期短縮と環境配慮を両立できる工法です。
ブラスト・塗装・運搬・保管をまとめてお任せ
複数の業者に分けて発注していた工程を、カイシン工業がワンストップで対応します。
引き取りから現場納品まで自社トラックで運び、自社工場内で施工から保管まで一括管理します。
工程のムダを省くことで、従来比でのコストダウンと、最短での納品を実現します。
よくある質問(FAQ)
Q. 鉄骨塗装の一番の目的は何ですか?
A. 鋼材を錆・腐食から守る「防食」です。 塗膜で酸素や水分を遮断することで腐食の進行を抑え、構造物の安全性と寿命を保ちます。
Q. 塗装の前の「ケレン(素地調整)」はなぜ重要なのですか?
A. 下地にサビや脆い旧塗膜が残っていると、新しい塗膜が密着せず早期にはがれてしまうためです。 塗膜の寿命は、塗料そのものよりもケレンの品質で大きく変わります。
Q. 1種ケレンと3種ケレンは何が違いますか?
A. 1種ケレンはブラスト工法でサビ・旧塗膜をほぼ完全に除去するもので、橋梁など重防食が必要な構造物に用いられます。 3種ケレンは活膜(密着している旧塗膜)を残し、サビと劣化部のみを手工具で除去する方法で、一般建築などで多く採用されます。
Q. 古い鉄骨で、塗膜に鉛が含まれていそうな場合はどうなりますか?
A. まず旧塗膜の成分を調査します。 鉛・クロム・PCBなどの有害物質が含まれる場合は、飛散を抑える工法での除去が必要になり、通常より費用がかかる傾向があります。
Q. 鉄骨塗装の費用はどのくらいですか?
A. ケレンの等級・塗料のグレード・形状・数量・足場条件などで大きく変動するため、一律の金額はお伝えできません。 正確な費用は現況を確認したうえでのお見積りになります。お問い合わせよりご相談ください。