Rc-Ⅰ塗装系とは?Rc-Ⅲ・C-5との違い・素地調整との関係を解説【橋梁の重防食塗装】
2026-08-17
橋梁塗装の設計図書や仕様書には、「Rc-Ⅰ塗装系」「C-5塗装系」といった記号が登場します。
「Rc-ⅠとRc-Ⅲは何が違うのか」 「なぜRc-Ⅰはブラストが必須なのか」
この記事では、
- 塗装系とは何か・重防食塗装とは何か
- 新設のC-5塗装系
- 塗替えのRc-Ⅰ塗装系・Rc-Ⅲ塗装系の違い
- 塗装系と素地調整(ケレン)の対応関係
を、橋梁・鋼構造物のブラスト・塗装を手がける専門業者の視点で解説します。
なお、塗装系の詳細な仕様は鋼道路橋防食便覧などの基準類で定められています。 本記事は全体像をつかむための解説であり、実際の設計・施工では最新の基準類をご確認ください。
塗装系とは?重防食塗装とは?
塗装系とは、素地調整から下塗り・中塗り・上塗りまでの塗料の組み合わせと工程をセットで規定したものです。 「この環境の橋には、この下地処理と、この塗料の組み合わせ」という形で体系化されており、記号(C-5、Rc-Ⅰなど)で呼ばれます。
このうち、ジンクリッチペイントを防食下地に用い、エポキシ樹脂・ふっ素樹脂などを塗り重ねて長期防食を狙う仕様が、いわゆる重防食塗装です。 ジンクリッチペイントに含まれる亜鉛が鋼材の代わりにサビる(犠牲防食)ことで、傷が付いても鋼材の腐食を抑える点が、一般的な塗装との大きな違いです。
C-5塗装系(新設橋梁の重防食塗装)
C-5塗装系は、新設橋梁の標準的な重防食塗装系です。
- 素地調整: 製作工場でのブラスト処理(黒皮を除去し清浄な素地に)
- 防食下地: 無機ジンクリッチペイント
- 中塗り・上塗り: エポキシ樹脂塗料+ふっ素樹脂塗料 など
ポイントは、無機ジンクリッチペイントはブラスト処理された素地(Sa2.5相当)でなければ性能を発揮できないことです。 そのため、C-5は製作工場でのブラスト+塗装が前提の塗装系となっています。
Rc-Ⅰ塗装系(塗替えの重防食塗装)
Rc-Ⅰ塗装系は、既設橋梁を塗り替えて重防食化するための代表的な塗装系です。
- 素地調整: 1種ケレン(ブラストで旧塗膜・サビを全面除去、Sa2.5相当)
- 防食下地: 有機ジンクリッチペイント
- 下塗り〜上塗り: エポキシ樹脂塗料+ふっ素樹脂塗料 など
新設のC-5と考え方は同じですが、現場での塗替えでは無機ジンクの施工条件を満たしにくいため、防食下地には有機ジンクリッチペイントが用いられます。 旧塗膜をすべて除去してゼロから重防食を作り直すため、長期の防食性能が期待でき、近年の橋梁長寿命化修繕で広く採用されています。
そのかわり、全面ブラストが必須となるため、素地調整のコストと、旧塗膜(鉛など有害物質を含む場合)の処理計画が重要になります。
Rc-Ⅲ塗装系(活膜を残す塗替え)
Rc-Ⅲ塗装系は、健全な旧塗膜(活膜)を残して塗り替える塗装系です。
- 素地調整: 3種ケレン(劣化部のみ除去、活膜は残す)
- 下塗り〜上塗り: エポキシ樹脂塗料+ふっ素樹脂塗料 など
ブラストを行わないため、素地調整のコストと廃棄物を抑えられ、工期も短くできます。 一方、防食性能は残した旧塗膜の状態に左右されるため、劣化が進んだ橋には向きません。 旧塗膜がまだ健全なうちに、上塗り層を更新して延命するための塗装系と理解すると分かりやすいでしょう。
Rc-ⅠとRc-Ⅲの違いまとめ
- 素地調整: Rc-Ⅰは1種ケレン(ブラスト・Sa2.5)/Rc-Ⅲは3種ケレン(活膜残し)
- 防食下地: Rc-Ⅰはジンクリッチペイントあり/Rc-Ⅲはなし(旧塗膜の上に塗り重ね)
- 期待できる耐久性: Rc-Ⅰが高い/Rc-Ⅲは旧塗膜の状態に依存
- コスト・工期: Rc-Ⅰが大きい/Rc-Ⅲは抑えられる
- 向いている状況: Rc-Ⅰは劣化が進んだ橋の抜本的な塗替え・長寿命化/Rc-Ⅲは劣化が軽微なうちの延命
どちらを選ぶかは、塗膜・鋼材の劣化調査の結果と、その橋をあと何年使うかというライフサイクルの視点で決まります。
塗装系の性能は素地調整で決まる
C-5もRc-Ⅰも、仕様の中心にあるのはジンクリッチペイントによる犠牲防食です。 そしてジンクリッチペイントは、Sa2.5まで素地調整された鋼材面でなければ本来の性能を発揮できません。
つまり、どれだけ良い塗料を使っても、ブラスト(1種ケレン)の品質が不十分なら塗装系全体の性能が崩れるということです。 Rc-Ⅰの施工では、塗装業者のブラスト品質管理体制が、仕様書の記号以上に重要だといえます。
部材単位の塗替えなら工場ブラスト+塗装が確実
橋梁全体の現場塗替えは大規模な足場・養生が必要ですが、取り外し・交換が可能な部材(高欄・検査路・排水装置・添架物・歩道橋の部材など)であれば、工場に持ち込んでブラスト・塗装するほうが、Sa2.5の品質を確実に確保できます。
天候に左右されない屋内環境で施工でき、ブラスト直後に塗装へ移れるためフラッシュラスト(ブラスト後の急速なサビ)のリスクも抑えられます。
カイシン工業はRc-Ⅰ相当の素地調整から塗装までワンストップ
岡山県倉敷市の株式会社カイシン工業では、橋梁・歩道橋などに使用される鉄骨・配管の素地調整1種(ブラスト)から重防食塗装までを一貫対応しています。
特許登録済みのマルチメディア・ブラスト工法®(特許第7776072号)は全研削材・全工法に対応し、鉛など有害物質を含む旧塗膜も、産業廃棄物を現場内で分離して適正に処理。 ブラストと塗装を同一工場内で行うため、Sa2.5の素地品質をそのまま塗膜性能につなげられます。
引き取り、ブラスト、塗装、保管、現場納品までのワンストップ対応により、従来比60%のコストダウンと最短7日での納品を実現しています。
「Rc-Ⅰ仕様の部材塗替えを外注したい」「ブラストからジンク塗装まで任せられる先を探している」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. Rc-Ⅰ塗装系とはどんな仕様ですか?
A. 既設橋梁の塗替え用の重防食塗装系で、1種ケレン(ブラスト・Sa2.5相当)で旧塗膜を全面除去し、有機ジンクリッチペイントを防食下地として、エポキシ樹脂・ふっ素樹脂塗料を塗り重ねる仕様です。
Q. Rc-ⅠとRc-Ⅲはどう使い分けますか?
A. 劣化が進んだ橋の抜本的な塗替え・長寿命化にはRc-Ⅰ、旧塗膜がまだ健全なうちの延命にはRc-Ⅲが選ばれるのが基本です。塗膜調査の結果と、供用年数の計画をふまえて設計されます。
Q. C-5とRc-Ⅰの違いは何ですか?
A. C-5は新設橋梁向け(工場ブラスト+無機ジンクリッチ)、Rc-Ⅰは塗替え向け(1種ケレン+有機ジンクリッチ)です。どちらもブラストによる素地調整が前提の重防食塗装系です。
Q. Rc-Ⅰの施工で特に注意すべき点は?
A. ブラストの品質(Sa2.5の確保)と、ブラスト後速やかに防食下地を塗るまでの工程管理、そして旧塗膜に鉛などの有害物質が含まれる場合の飛散防止・廃棄物処理です。